「レトルト食品」を和英辞典で調べると出てくる"retort foods"。しかし、その単語、英語圏の人に対して使っても通じないかもしれません

えっ!"retort"って英語なのに!英語が語源の「レトルト」が通じない?!

どゆこと?!

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▲記事を読み上げたYouTube動画もあります。発音の確認をしたい方や、体調が悪くて読むのがしんどい方はぜひご活用ください。

レトルト食品とは

レトルト食品とは・・・調理済みの食品をポリエステルなどの袋に密閉し、高温で殺菌したものをいいます。最近はレトルト食品と言えば種類も豊富で、カレーはもちろんのこと、ミートソース、シチューや牛丼などが売られていますね。しかもおいしい。

長期保存がきく上、調理をする必要がないので、うちでは東日本大震災の時にも非常食として大活躍しました(うちでは電気が2日間、ガスが5日間、水道が10日間止まりました)。

日本人の食卓にはなくてはならないもの・・・とまでは言いませんが、便利で生活を豊かにしてくれているのは間違いありません。
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では英語で?

確かに、レトルトの袋を表す「レトルト・パウチ」は"retort pouch"というれっきとした英語なので、wikipediaにも載っていますし、The Japan Newsでも使われていました。
しかし先日、アメリカ人の友達に"retort foods"が何か分かるか聞いてみたところ、答えは"What's that?(=何それ?)"でした。

ここで問題なのは「レトルト」の部分。"retort" (発音はリトートゥ)は動詞で「言い返す、反論する」という用法が圧倒的によく使われます。少なくとも私の友人は、"retort"と食品は結びつかないと言っていました。

では何と言えば良いのでしょう?  

"retort"という単語は使わず、"sealed pouch"という言い方をすればだいたい通じるそうです。
あとは"pre-packaged food"。これはパック詰めにして販売する食品全般のこと指し、レトルト食品だけを表す表現ではありませんが、イメージは十分に伝わります。さらに日本でもおなじみの"instant"という言葉を使って表すことも出来ます。

"retort food"が通じない理由は他にありました。

アメリカ人の友達以外には聞いていないので、他の英語圏の国ではどうか分かりませんが、
1. アメリカではカレーそのものを食べる習慣がない。(アジア人向けのスーパーではカレールー自体は売っているそうです。)
2. ビーフシチュー、(パスタに使う)ミートソースなどの「スープもの」は瓶詰が普通。
3. 地域にもよりますが、ご飯はあまり食べないので、炊き込みご飯の素や牛丼などは食べる習慣がない。

つまり、通じないのは言葉そのものの問題ではなく、食文化の違いにあるようです。

レトルト食品を知らない人に説明する

辞書に載っている"retort foods"が通じない以上、海外の人と友達になったら、レトルト食品が何かを説明する必要になる・・・かもしれません。最後に、レトルト食品に関する5種類の例文をご紹介します。

1.
そもそもレトルト食品とは何か説明するには:
"Retort food is a ready-made food in a sealed pouch. It has been sterilized in a laminate of flexible plastic and metal foils, so you can keep it for a year or so at room temperature. It's really common in Japan."
「レトルト食品とは、薄いプラスチックやアルミ箔で出来たパックで密封された食品で、常温で一年保存が利きます。日本ではとても一般的です。」
※・sterilize 他動詞 ~を殺菌[消毒]する ・laminate 名詞 積層プラスチック ・flexible 形容詞 曲げやすい、柔軟な ・room temperature 室温[常温] 

2. レトルト食品の食べ方を説明したい場合は?色々な言い方があるので、「レトルト」を表す複数の表現を紹介します。
"This pre-packaged food can be microwaved and eaten.”
"This food in a sealed pouch can be microwaved and eaten."
"This pre-packaged food just needs to be heated in the microwave and then it can be eaten."
"This food in a sealed pouch can quickly be microwaved and eaten."
「レトルト食品は電子レンジすれば食べられるよ」 

※microwave 他動詞 ~を電子レンジをする、電子レンジで温める 

3. 「昨夜はレトルトのパスタを食べたよ。」
"I had pasta with instant pasta sauce last night."
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4. 「昨日は夕飯にレトルトカレーを食べたよ。」
"I had curry in a sealed pouch for dinner yesterday." 
"I had instant curry for dinner yesterday."
 
5. 「日本では、レトルトの牛丼はとても一般的で、どこのスーパーでも手に入ります。」と言いたい場合は? 
"In Japan, pre-packaged gyudon is commonly sold at every supermarket."
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「牛丼」は日本食通でもない限り知らない人が多いと思うので、説明が必要かもしれません。
「牛丼は醤油で味付けされた牛肉で、ご飯に盛って食べます。」
"Gyudon is soy sauce seasoned beef served over rice."

注意:今回ご紹介した内容はあくまで私の友人の出身地(アメリカ北部)での話です。他の英語圏の国や、アメリカでも地域によっては"retort"が通じる可能性もゼロではありません。

おさらい

レトルトパウチ・・・"sealed pouch"

レトルト食品・・・"pre-packaged food"

レトルトカレー・・・"instant curry (in a sealed pouch)"

レトルトパスタソース・・・"instant pasta sauce (in a sealed pouch)"

以上、レトルト食品に関する意外な事実でした。
こんなちょっとした単語で食文化の違いを感じられるなんて、言葉って本当に面白いですね。 

ではまた。

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